くわいだん

会社でコーヒーを買おうと財布から百三十円(百円玉一枚、十円玉三枚)を取り出して、自販機コーナーへ向かったのです。目的の自動販売機にたどり着き、硬貨を投入しようと改めて手のひらを見ると、そこには十円玉が四枚きり。しまった、これは妖怪小銭すり替えの仕業です。この妖怪は、必要な硬貨を違う金額の硬貨にすり変えて財布から取り出させるのです。そして困ったり、うろたえたりする様子を眺めて笑っているのです。ああ、なんて恐ろしい。私は必要以上に落ち込まないようにして、財布を取りに戻ったのでした。